2021-01-01から1年間の記事一覧

15「嵯峨野」

地名国名[034]15、ツ・カツノ ◇「嵯峨野」 カツノの頭に「ツ」が付いたツ・カツノと呼ばれる語があります。このツがサに替り、サ・ガツノ→サガノと転化省略して、地名になりました。 桂川の北に嵯峨野があり、少し西に小倉山や愛宕山などがあります。これら…

14-2「曾野」「園」

地名国名[033]14、カツノ〈2/2〉 ◇「ソノ」 園〔ソノ〕は、専ら農作物(また植物)を栽培するための一区画、それらが繁茂する土地をいいますが、しかしそれは後の時代のはなし。上代に於いては意味が違っていました。 カツノがカソノと転じ、カのおとが落…

14-1「葛野」「佐野」

地名国名[032]14、カツノ〈1/2〉 ◇「カツノ」 良い空間、優れた土地、拓けた地域、また王城の地などをカツノという。葛野〔カヅノ、カドノ〕、神野〔カツノ〕、交野〔カタノ〕、角野〔カドノ〕などの地名として残っている。 これに接頭語のキツが乗り、キ…

13「飛鳥」「有馬」

地名国名[031]13、アツ・カツラ ○「飛鳥」 動きを表わす語をツツといいます。生きモノ全般をキの音で表わすので、「動く・モノ」はツツ・キ、またツツ・ツキと言います。 ここでは鳥の字を使うので「ツツ・ツキ =(空中を)移動する・モノ」というのがの原意で…

12ー2「日下村」

地名国名[030]12、キツ・カツラ〈2/2〉 ◇「キツ・カツラ」 人家が集まっている所を表わす呼称として、キツ・カツラは基本形ですが、音も表記も色々に移ります。そして、時代が下ると共にそれぞれの固有地名になっていく。 現在でも北村、稲村、白村、木村、…

12-1「湯津カツラ」

地名国名[029]12、キツ・カツラ〈1/2〉 ◇「ユツ」という語 様々な単語に定番の接頭語・キツという音が付けられて使われます。キは色々な音に転化しますが、キ→キゥ→チゥ→イゥ(ユ)の音転ルートで、しばしばヤ行音にも移ります。 これに依りキツがユツの音とな…

11「村」

地名国名[028]11、カツラ ◇「村、邑」 村〔ムラ〕という語の原音はカツラです。これがカムラになり、カが落ちてムラの音で定着します。よって、当初は村や邑の一文字でカツラだった。 カツラ→カブラ→カムラ→ムラ。 人家が多く集まっている在所をいいますが、…

10「市寸島」

地名国名[027]10、キツ・キツマ ◇「キツ・キシマ」 キツマとは、ヒロマ(広間)やヒロバ(広場)といった語になる音だが、決して広くない土地や島であっても、ある程度の平地があればキツマと呼ばれる。 面を表わす語はカツカと言います。日本では土地をい…

9「スワの海」

地名国名[026]9、ツ・アツ・キツ ンミ ◇「スワの海」 ツ・アツ・キツミ→ス・ゥアヌ・ ンミ →ス ワ ヌ ウミ 諏 訪 の 海(周芳の海) 頭に置かれるツは西方面を表わし、アツ・キツミは広い水地をいいます。全体として「西の海」の意になります。 頭のツがスに変わ…

8-3「佐渡島」

地名国名[025]8、ツ・アツ・カツマ〈3/3〉 ○「佐渡島」 ここをサドガシマと呼んだのは、この島が西方面に位置する地域の人達であり、よって新潟平野辺りから見ての呼称でしょう。 ス・アツ・カツマ →スアヅ・カツマ→サド・カシマ。 佐渡 島 ◇サド・ガシマの音に…

8-2「薩摩国」「宝島」

地名国名[024]8、ツ・アツ・カツマ〈2/3〉 ◇「サツ」という語。 アツの頭にス(元はツ)を付けると、西方面を表わす語になる。日が頂点を過ぎて下ってゆく側の方向全般をいう。また北方面や寒冷地にも使う。 ○「薩摩国」 〈西〉 〈国〉 ツ・アツ・カツマ ⚪︎ツ…

8-1「筑紫国」

地名国名[023]8、ツ・キツ・カツマ〈1/3〉 ○「筑紫国」 ツ・キツ・カツマ→チ・クシ・カシマ 筑 紫 国 筑紫(チクシ、またツクシ)とは、キツの頭に「ツ」が乗ったツ・キツから転じた音です。或る場所から見て西方面にあるキツ・カシマをいいます。 筑紫平野は、有…

7「東国」

地名国名[022]7、アツ・カツマ ◇「アヅ」という語。 アツは色々な意味で使われる語ですが、東方面(午前中に太陽がある方角)を表わす時にも使う。その場合は、アヅ、アチ、アタ、アダ、アラ、アリなど、ツの音が変わるが、おもに濁音になる事が多い。 ○「…

6-2「カラ・国」

地名国名[021]6、カツ・カツマ〈2/2〉 ◇「大きなカツマ」 カツ・カツマがカラ・カシマと転じる。この音に、唐国、漢国、韓国、また空国などの字を充てるが、上代に於いては普通名詞としての音(カラ・カシマ、またカラ・シマ)を表わす字であり、特定の国を指…

6-1「妣国」

地名国名[020]6、カツ・カツマ〈1/2〉 ◇「カツ・カツマ」 規模の大きい連合集落や、勢力をもった主幹国のカツマには、褒称の接頭語・カツを乗せカツ・カツマと呼ぶ形があります。 これに文字が充てられ、カツ・カシマ(鹿ツ・島、加ツ・賀島)、カツ・コシマ(…

5-3「漢委奴国」

地名国名[019]5、アツキツ・カツマ〈3/3〉 ◇「漢委奴国」 広い土地や、或る地域を表す呼称はキツ・カツマといいました。これに大を意味する音のアが頭に付いて、アキツ・カツマになる、というのは既に前項で説明しました。 更にアの音がアツと膨らんで、後…

5-2「邪馬台国」

地名国名[018]5、アツキツ・カツマ〈2/3〉 ◇「邪馬臺国」と「邪馬壹国」 ここでは『この国が何処に在ったか』を論じるものでは有りません。あくまでも国の名について、その音と成り立ちのみに焦点を当てたものす。 ⑴「臺(台)」の場合。 アツキツ・カツマ…

5-1「山代」「八代」

地名国名[017]5、アツキツ・カツマ〈1/3〉 ◇「アツキツ・カツマ」 アキツを、より強調しようとする場合には、頭のアが膨張してアツになり、アツキツという音にもなります。また、アツがアンやアムなどに転じ、アンキツやアムキツと発音されて使われること…

4-4「沖縄」

地名国名[016]___アキツ・カツマが原音です。これがオキナ・ワシマと転じた音に沖縄島の字が充てられる。カツマのカが、カ(クァ)→ハ(ファ)→ワ(ウァ)と転じる。 4、アキツ・カツマ〈4/4〉 ○「沖縄」 アキツ・カツマ→アキ ヌ・ファシマ →オキ ナ・ワ…

4-3「淡路島」

地名国名[015]4、アキツ・カツマ〈3/4〉 ◇「淡路島」 アキツ・カツマ →アハヂツ・カツマ →アハヂス・ホツマ 淡 道之 国 淡 道之 穂 嶋 淡路島は瀬戸内の島々の中で最大であり、よって、キツの頭にア(大)が乗り、アキツ・カツマと呼ぶ。 アが長音・アハと膨…

4-2「日本」という名

地名国名[014] ◇「アキツ・カツマ」〈2/4〉 大きなクニを表わす一般呼称はアキツ・カツマが始めの音ですが、特に良いカツマはカがホに変わり、ホツマの音になる。勿論、自国を言う場合に使います。そして、アに大、キに日、ホに本、ツマ(シマ)に国の字を…

4-1「秋津島」

地名国名[013]4、アキツ・カツマ〈1/4〉 ◇「アキツ・カツマ」について 良い土地をキツ・カツマといい、さらに立派な土地は頭に「大」の意味を持つ「ア」が乗ってアキツ・カツマといいます。 地域や時代によって音や表記は様々に変化して使われますが、広い…

3-5 「伊都国」「瑞穂国」

地名国名[012]3、キツ・カツマ〈5/5〉 ◇「伊都国」 キツ・カツマ→イト・カシマ 伊都 国 所謂、魏志倭人伝と呼ばれる書物の中には、キツ・カツマが元の音と思われる国名が多く見られますが、伊都国もその一つです。博多湾に糸島半島があり、この辺りと云われ…

3-4 「日向国」「丹波国」

地名国名[011]3、キツ・カツマ〈4/5〉 ◇「日向国」 キツ・カツマ→キブ・カィシマ→ヒ ム・カイシマ 日 向 国 キツ・カシマ→ヒム・カシマ→ヒウ・カ シマ 転化ルートは二種類あります。⑴ヒム・カィシマ。キツが、キブ→ヒムと転じ、カシマのカがカィと膨らんでカィシ…

3-3「出雲国」

地名国名[010]3、キツ・カツマ〈3/5〉 ○「出雲国」 キツ・カツマ→キヅ・カムシマ→イヅ・クモシマ 出 雲 国 キツがイヅに転じた音に出の字を充て、カツマのカが、→カン→カム→カモ→クモ、と膨張・転化してカツマがクモシマに変わり雲国の字を充てる。こうして、…

3-2「吉備国」

地名国名[009]3、キツ・カツマ〈2/5〉 ◇「キツ・国〔カツマ〕」 或る地域を意味するカツマとは、一人の首領を王とした集団がテリトリーとするシマ(国)をいう。日本列島には縄文時代の末の頃から、時代が下がるにつれてそんなキツカツマが多くできつつあ…

3-1「キツカツマ」

地名国名[008]3、キツ・カツマ〈1/5〉 ○「キツ」とは何? 太古の日本人は(いや、人類は)単語の頭に強調や褒称の音を乗せるという事をしていました。 幾つかの音がありますが、恐らく最初に使った音がキであり、これが後々まで標準的な音になります。接…

2-3「オノゴロシマ」

地名国名[007]2、カツマ〈3/3〉 ◇「オノゴロシマ」 二神(伊邪那岐・伊邪那美)は、国生み神生みをするにあたっての産屋を設けるため、先ず神聖な仮想空間(カツマ)を造ります。 天の沼矛を潮に差し入れ掻き混ぜて引き上げた時、その矛先から滴り落ちる…

2-2「ぬ島」

地名国名[006]2、カツマ〈2/3〉 ◇「ぬカシマ」 ヌ・カシマとは、水に囲まれたやや小さな陸地の基本呼称です。カシマは下名に置かれる語なので、予唸音・ヌを付けてヌカシマと呼ばれることがしばしばあります。淡路島の南にある沼島は、ヌカシマのヌの音に沼…

2-1「クニ」と「シマ」

地名国名[005]2、カツマ〈1/3〉 ①「カシマ」*「土地」 面を意味するカツカの後ろのカ(処)がマ(間)に転じて、カツカ→カツマの音になる。のちにツがシに変わりカシマになり、さらに略してシマの音で定着する。陸地、土地、などの意。 ただし、二種類の…