「カヤ・ツツヌキ」

【ツツ考】[024]___

◇「重力

 この世の初めは、ただ何もかもが乱雑に撹拌された濁った空間だけが存在していました。上も下も無く、光も無く、まるで固まっているのかとさえ思えるような、或いはスチール写真を見るような、一切のものが微動だにしない、完全に停止した世界でした。

ここに或る時、重力というモノが発生し始めます。今風に言えば “ヒッグス粒子の誕生”という所でしょうか。

「重さ」を持った物質は、それが如何に微細なモノであっても、或る方向にゆっくりと静かに移動を始める。この向かう先を「下」といいます。これにより、この空間に初めて上・下というものが作られました。

 

 

◇「ツツの正体

 悠久の時が流れ、降下したモノはすっかり底に溜まり、何処までも続く平らな広い海面(アカ)を作っています。一方、上は全く何も無い澄み切った高い空間(アキ)が際限なく広がっていました。

こうして作られた空と海の間には常に風が吹き、月は海に干満を作り、それによって生じた潮流は永遠に動き続けることとなります。この“動・エネルギー”をツツといいます。

また、様々な自然現象もツツの仕業ですが、それが人々に不幸をもたらす場合、これを自然災害と呼びます。

これら自然界に存在するあらゆるツツ(動き)は全て重力に起因するものです。

つまり、重力こそがツツの正体なのです。それは即ち、竜の正体でありドラゴンの正体です。そして、荒振るツツヌキの大神、カツ・ツツヌキ…いや、ハヤ・スサノヲ(速須佐之男)の正体です。