4-2「日本」という名

地名国名[014]

 

◇「アキツ・カツマ」〈2/4〉

大きなクニを表わす一般呼称はアキツ・カツマが始めの音ですが、特に良いカツマはカがホに変わり、ホツマの音になる。勿論、自国を言う場合に使います。そして、アに大、キに日、ホに本、ツマ(シマ)に国の字を、それぞれ充てる。

しかして、アキツ・ホツマは「大日ツ・本国」と表記され、我が国号と成る。(※アの音は、アハ(アファ)、アウァ(アワ)、アツ、アブ、アム、アン、といった音に膨張することがある。)

○「日本
 アキツ・カツマ→アハキツ・ホツマ
         大 日ツ・本 国

 アキツ・ホツマの表字である「大日・本国」は、後に大の字は副詞として、国の字は普通名詞として扱われる様になります。その結果、此れらに挟まれた中の二文字「日本」が名称となりました。

正確には「日ツ・本〔キツ・ホ〕」ですが、ツの音は省き字として表記されない。ただし、ツがヌと発音された「日ヌ本」の場合は、ヌが助詞・ノの役目になって「ひノもと」という読み方が生まれます。漢字を訓読みしたものです。

また、「日」の字は本来「キ」ですが、後には日の一文字でキツと読むようにもなります。このキツがニチやヂツに転音します。※ dayを表わす日の字はカ。)

日曜ニチヨウ〕や、本日(ホンヂツなどのニチやヂツ(ジツ)という大陸仕様の音読みも、こうして出来ました。原音は同じ、キやキツという事です。

 

 

◇「漢字表記

 かつて日本列島には多くの国があり、それらの国にも漢字は入っており、使われていた事でしょう。しかし、当然ですが漢字の用い方に統一されたものなど有りません。

アキツ・カツマという語は同じであっても、この音に充てる文字が違っていた。地域により、時代により、また漢字を使う個人にも依っても違ったでしょう。

大日本国の他にも、天津国、秋津洲、秋津嶋、安芸国、御喰国、大委国、御宇日本国、御吉本国…、などの表記が為されます。これらは全て、アキツ・カツマ(また、アクィツ・カシマ)の音に充てたと考えられます。
※ 国.洲.嶋はそれぞれ一字でカツマまたカシマ。本国はホ・ツマ、またホ・シマ。ホの音には他に、秀や穗も使われる。

・「アキツ」の表記
天はアキ。秋、安芸などはそのままアキ。大日はアキ、またはアハキ。御喰はアクィ、大委はアキ→アイと転じた音。

・「天津国
アキの音にを充て、カツマに国を充て、アキツ・カツマが天津国という表記になる。

・「御宇日本国
キツのアがアウと発音され、この音に御宇の字を充てたと思われる。

・「御吉本国
〔キツ〕と同じ音を持つの字、をモトと読み同義同音のの字も使われます。「吉本」や「吉元」もまたキツ・ホを基とする「日本」の別表記といえます。

 

*「日本大国魂神」
崇神紀》六年の条には、日本大国魂神〔ヤマトのオホクニのミタマのカミ〕という名が出てきますが、恐らく初めは、アキツ・ホツマ・ムスヒ、の語に「大日・本国・魂」の字を充てたものだったのでしょう。“アキツ・ホツマを産んだ神(産巣日)”という意味です。

日本大国魂神という表記は古くから有るものではなく、書紀に於いて作られた書き方だろうと思われます。

名の本意を知らない書紀の執筆者は、“ 大国 ” の形に囚われてしまいます。そして、日・本国→日本・国と、勝手に書き変えを行〔おこな〕い、大の字が移動させられた。

「日本」とは、アキツ・ホツマの内の、キツ・ホが元の音です。この二文字(日本)が単独の形で生まれた訳では有りません。よって、上代に於いて「日本・大国」などの表記が為されることなど有り得ない。

 

*「ヤマト国」とは
日本と書いてヤマトと読む事があります。日本という字と、ヤマトという音には直接的な繋がりは有りません。ただし、根は同じでしょう。

キツ・カツマがアキツ・ホツマと転じ、このアキツに大日を充て、ホツマに本国を充てたのが大日本国。

一方、アキの音に天の字を充てる部族がいて、この地の人はアキツ・カツマに天津・国、また天都・国の字を充てました。

ところが、天の字をアマ(アメ)と読む部族が天津(天都)をアマツ(アマト)と読む。さらにアの頭に予唸音・イが付着して、イアマツ(ヤマト)と移ります。

つまり、基の音は共にアキツであり、アキの転化ルートの違いが、一つは大日であり、また一つがアキ→天→アマ→イアマ(ヤマ)、になった訳です。

例えば、会津〔アイズ〕、焼津〔ヤイズ〕という音はアキツ→アイズと転じ、アイズ→イアイツ(ヤイヅ)の音になります。これは特殊な転音ではありません。

※ただし「焼〔ヤキ〕」という語はツキのツがヤ(ァ)に転じた音であり、ィではありせん。同じ「ヤ」でも、元の音が違います。よって、厳密にはここの「焼」の字は適しません。

  大委ツ・国  委はキから転じたイ。
  天 津・国  天はアキの音に充てる。
  夜麻都・国  ヤマトの真假名表字。

 

*「倭国
キツ・カツマに委ツ・国、アキツ国が大委国になる。この委の字に大陸の者が人偏を付け倭(卑字)とした。これによって倭国とされてしまう。

我が先祖達は、永らく大倭国を使いました。大陸人による侮蔑表記である倭の文字が和に変えられるまで、随分と時間が経ってしまいました。ただ、これとて倭=ワ(の音)を和に変えただけで、アキツの音とは無縁です。

 

*「日本」という表記は日本人が作った。
秋津嶋、大日本国、天津国、大委国、これらの表記はこの地(アキツ・カツマ)に暮らす人たちが作ったものです。

全て音から始まっています。漢字は後から充てられました。「日本」という国号は大陸人が作ったという説がありますが、天津をテンシンなどと発音する人たちが、何故キツホという音を作れるのでしょうか。大陸崇拝はやめましょう。

 

 

◇「ジャパン

 世界からはジャパンと呼ばれる日本ですが、この呼称は、マルコ・ポーロの口述書、所謂《東方見聞録》と呼ばれる書物に有る表記、Sypangu(シパンギュ)、またCipangu(チパング、後の発音はジパング)から来ているというのは広く知られていますね。

彼は13世紀頃、支那(元)に十年ばかり滞在したと言われてる商人ですが、日本には来たことはありません。

よって、全ては支那人イスラム商人からの伝聞、噂話、他地域を含めた錯綜情報、思い込み、盛り事、などによって出来ていると考えて良いでしょう。ジパングという呼称もそんな中から生まれた音です。

語の末尾にあるギュは、特に扱う必要のない音です。単語の終わりの音が「n」で終わる場合、ングの様に粘っこく発音する欧州圏によく有る発音現象です。香港〔ホンコン〕がHong・Kong(ホング・コング)になる様なものです。

だから、シパンギュはシパン、ジパングはジパン(ヂパン)、というのが本来の音と判断して良いでしょう。

そして、元の音はキツカから転じた「キツホ」です。キに日、ホに本、これらは音に充てた假名表記という事です。この日本の文字をジッホンと読んだのが基となっているのは間違いないでしょう。
 キツ・ホ → 日 ・本
        二ツ ホ(二・ホン)
        ヂツ ポン(ヂ・パン

イ・シ・チ・ヂ・ヒ・二、などは全てキから移って来る音です。

タイ国では、日本をイープン(yîipùn / ญี่ปุ่น)と呼ぶのだそうですが、これには色々な説が有るらしいです。だけどキの音はイに移るのだから、キツホ→イツ・ホン→イープンになるのは何の不思議もないですね。単純な音転ルートの一つです。

 

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▽ちなみに。
日本橋の読み方について、留意しなければならない事があります。東京にあってはニホン橋といい、大阪にあってはニッポン橋という。これが正しい呼称です。

うっかり間違って言ってしまうと、その土地の人々から白眼視される事になります。関東、関西以外の皆さま、ご注意を。