「数のこと」八(2)

数[027]___「八ツ」 ◇「日本の聖数」 *世界の国や民族には聖数というのがあるらしい。日本人にとっては古来から「八」が聖数とされます。 八世紀初頭に編纂された古事記・日本書紀には、やたらと八の字が使われます。特に神世の話に多いです。古墳時代…

「数のこと」四と八(1)

数[026]___「四」と「八」 ◇「数の組合わせ」五組。 [小・大] (原音) 一:二 ヒィ:フゥ(キツ:カツ) 三:六 ミィ:ムィ(キィ:クィ) 四:八 ヨォ:ヤァ(オツ:アツ) 五:十 イツ:トォ(キツ.ツツキ:ツツキ.ケル)〈端数〉 七:九 ナナ:ココ (ナナ.ツキ…

「数のこと」五と十

【ツツ考】[025]___「五」「十」 ◇「数の組合わせ」五組。 [小:大] (原音) 一:二 ヒィ:フゥ(キツ:カツ) 三:六 ミィ:ムィ(キィ:クィ) 四:八 ヨォ:ヤァ(オツ:アツ) 五:十 イツ:トヲ(キツ.ツツキ:キツ.ツツキ.ケル)〈端数〉 七:九 ナナ:コ…

「カヤ・ツツヌキ」

【ツツ考】[024]___ ◇「重力」 この世の初めは、ただ何もかもが乱雑に撹拌された濁った空間だけが存在していました。上も下も無く、光も無く、まるで固まっているのかとさえ思えるような、或いはスチール写真を見るような、一切のものが微動だにしない…

「ツツノキ」凄力

【ツツ考】[023]___ ◇「エネルギー」 誰の意思によって動いているのか、なぜ動いているのか。日常の生活の中で、余りにもありふれているにも関わらず、誰も知らない。 生命の活動:心臓の鼓動、湧き出る意識。草木の発芽と成長、その盛衰。 自然界活動…

「ツツ・ツツ」重連

【ツツ考】[022]___ ◇「重連語」 日本語には、ツツを二つ重ねて「ツツ・ツツ」という音表現があります。動きの継続や繰り返し、また動きの滑らか度合いや、その状〔さま〕などを表わす時に使われます。 ツはタ行の他の音や、サ行音などに転化しますが、…

「ツツ・マキ」芝居

【ツツ考】[021]___ ◇「芝居」 ツツは「続ける」「連続」、マキ(マイ)は「回転の状」また「行為」。この二つの語を合わせた「ツツ・マキ」という言葉は、一定の場所で「動き続ける・行為」の状〔サマ〕をいいます。ツツは、→スス→シシと移り、マキは、→マ…

「ツツキ」動作

【ツツ考】[020]___ ◇「作業」 対象物に或るモノを接触させる行為をツツキという。強く当てますとタタキ(叩き)、軽く触れるのはソ・ダタキ(記の歌に、曽陀多岐)と言うのだそうです。 棒状のモノの先でツンツンやればツツキ(突き)ですが、それがグ…

「ツツ」這。鼓。飛。

【ツツ考】[019]___ ツツカ ◇「虫」 筒木宮に行ってしまって戻って来ない石之日賣に対して、大雀(仁徳)は舎人・口子臣を伝令使いとし、迎えに遣り「何故、帰ってこないのか。何をしているのか。」と問うた。 これに対し日賣は答えて「いえ、大意は有り…

「ツツ・ツキ」鳥

【ツツ考】[018]___ツツトリ ◇「鳥」 鳥も空中を移動するのでツツキ、またツツ・ツキ、が基本音です。古代から中世にかけて一般的に使う鳥の呼称は、カツキ、カツミ、ツツキ、ツツミ、ツツトリ、などと呼ばれます。 飛行するという特殊な能力を持つ生き…

「ツツ・ツキ」動のモノ、太陽

【ツツ考】[017]___ツツ・ツキ ◇「動くモノ」 太陽は天空を移動する。鳥は空中を移動する。魚は水中を移動する。それにより此れらは、動きを表わすツツやトトの音を持つ名で呼ばれる事がある。 太陽をテント(天道)、沖縄言葉でテダなどというが、ツツ→…

「カ・ツツキ」海と渡、走と川尻

【ツツ考】[016]___カツツキ〈2/2〉 ◇「ワタ」 ワタツミの語音に《万葉集》などで海神の字を充てているのを見ます。また、ワタツヘは渡辺と書きます。同じワタの音が使われる事により『海をワタというのは、渡(ワタリ)からきている』と考える人が出て…

「カ・ツツキ」語と渡

【ツツ考】[015]___ カツツキ〈1/2〉 ◇「語〔かたり〕」 《古事記》の長歌の中の幾つかに、結語として「許登能加多理碁登、母許遠婆」〈コトノカタリゴト、オモコオバ〉という表現を使うのがあります。 コトノカタリゴトの音を遡れば「キツ・カ・ツツキ・コツ」に行…

「ツツ・ヌキ」戦うモノ

【ツツ考】[014]___ ◇「戦士」 軍人の呼称には大きく分けて、カツキ系とツツヌキ系があります。大雑把な言い方をすると、カツキはモノ(武人や武具など)、ツツヌキはそれらの働き(動作)を表した語と言えます。だが、戦う事には変わりなく、戦闘員を…

「ツツ・ヅ・カワ」川

【ツツ考】[013]___3-6.液体の流れ「川」 ◇「ツツ・ツ・カハ(ツツ・カハ)」 「キツ・ツツ・ツ・カ」を直訳すると「液体・移動・面」ですが、水が流れる処、と言い換える事もできます。この音からキツを省いた形、これを元とする呼称は全国に多数あります…

「キツ・カハ」川

【ツツ考】[012]___3-5.液体の流れ「川」 ◇「キツ・カハ」 キツ・ツツ・ヅ・キ・カハ、の中のツツ・ヅ・キが移動を意味します。この音を省略して、キツ・カハになる。キツは極く初期に於いて接頭語だった思われますが、早い段階で水の意で使われます。 後の…

「キツ・ツツ・カ」川

【ツツ考】[011]___3-4.液体の流れ 「キツ・ツツ・カ」 ◇「川」 カワという音は、カツカ(面)の先のカが膨張してカハ(kaha /一音語)→カファ(ka・pha /二音語)→カウァ(kawa)と転化した音です。古代から中世に於いてはカファツカの後ろのツカを省いた…

「ツツ・キ」禊

【ツツ考】[010]___3-2.液体の流れ 「キツ・スス・キ」 ◇「禊」*伊邪那岐が黄泉国から戻ってきた時、云う。「故吾者 爲御身之禊」〈故に吾は、御身これ禊を為さむ〉 *また、大穴牟遅が稲羽の裸菟に云う。「今急往此水門 以水洗汝身」〈今すぐ此〔ソコ〕…

「ツツ・ヌ・キ」血

【ツツ考】[009]___3-1.液体の流れ 「ツツ・ヌ・キ」 ◇「流れる血」 伊邪那岐命が迦具土神を斬る。その時、使った剣・切った頸・刃を伝い流れる血。これを《記》では次のように書く。 ① 於是伊邪那岐命 拔所御佩 之十拳劒 斬 其子迦具土神 之頸 爾著其…

「ツツマ」天満

【ツツ考】[008]___ ◇「天満」《仁徳紀》號其水曰堀江。 堀江を作る際に出た掘削土は、高津宮の西(大阪湾側)にも敷かれたでしょう。その平地はツツカといい、転じてセンバと呼ばれます。そして、以降それぞれの時代で千波、洗場、そして舟場、などの…

堀江

【ツツ考】[007]___⒉ 空間「ツツカ」 ◇「堀江」《仁徳紀》 十一年冬十月。掘宮北之郊原、引南水以入西海。 因以號其水曰堀江。 ◯宮の北の郊〔はずれ〕の原を掘り、南の水(大和河)を引き以て西の海(大阪湾)に入れり。因りて其の水(河)を以て名付け…

「ツツカ」船場

【ツツ考】[006]___⒉ 空間「ツツカ」 ◇「船場」 十六世紀後半の大坂(難波)では、都市開発の一環として東横堀、西横堀などをはじめ多くの堀が作られました。これらを掘って出る土、また川底を浚って出る土砂、この廃土は周辺にある低地や湿地帯の埋め…

「ツツキ」高千穂

【ツツ考】[005]___⒉ 空間「ツツキ」 ◇「高千穗」 《記》には次のような高千穗が出てくる。 番能邇邇芸命は「天降坐 于筑紫日向 之高千穗之久士布流多氣」 穗穗手見命(火遠理命、所謂山佐知毘古)は「坐高千穗宮」 伊波禮毘古命と兄五瀬命は「坐高千穗…

「ツツカ」永遠

【ツツ考】[004]___⒈ 時間 ◇「永遠」《景行記》倭建命の条。 坐酒折宮 之時歌 曰 邇比婆理 都久波袁須疑弖 伊久用加 泥都流 爾其御火燒之老人 續御歌 以歌曰 迦賀那倍弖 用邇波許許能用 比邇波 登袁加袁 是以 譽其老人 卽給東國造也 ○(甲斐の)酒折〔サ…

「ツツカ」平穏

【ツツ考】[003]___⒈ 時間 「ツツカ」 ◇「順調」 ツツには現世の意もある。「夢かウツツ(現)か」のウツツです。ツツキとは時(キ)の経過、ツツカとは日々(カカ)の移ろいの意味であり、人が感知しないエネルギーにより、時間が、日が、常に同じペー…

「ツツキ」次

【ツツ考】[002]___⒈ 時間 「ツツキ」○「次(ツキ)」 時間の推移や経過などが順序立てて進行する、また物事〔ものごと〕が繰り返し継続されることをいいます。元の音はツツキであり、縮んでツキになる。後にキが濁音になった。 古事記に於ける「次」の…

「ツツ」という音

【ツツ考】[001]___ ◇「ツツの役割」 かつて「ツツ」という語が有りました。日本語に、と言うより人類語と言った方が良いかも知れません。ツツという語は、次の様な概念を表す時に使われる声音です。 時間(経過、順次) 空間(広がり、面。また、集ま…

23「外国のアキツ・カツマ」

地名国名[060]___別言語の中に「音や意味に共通するものがある」というだけで飛びつき、それらの単語を結び付けようとするのは危険です。偶然の可能性も大いにあります。それを踏まえた上での一仮説です。 23、外国のアキツ・カツマ 「北米の地名」○[オ…

22-2「佐野・志麻」

地名国名[059]___ 22、地形の重ね名〈2/2〉 ○「佐能志麻」 大雀命(仁徳天皇)が淡路島にて歌を詠む。《記》にある歌を詞書と共に「飾り書き」にしたものが次の文型である。掛け軸にでもして飾ったのか、美しく整った構図になっています。 歌にある四つ…

22-1「曽根崎」「島崎」

地名国名[058]___地名には二つの地形の呼び名が合わさって出来たのが有ります。カソネとカサキでソネサキ、カシマとカサキでシマサキ、といった具合です。 22、地形の重ね名〈1/2〉 ○「曽根崎」 カツネ・カツキ→カソネ・カサキ → ソネ・ サキ(曽根・崎) …