4-3「淡路島」

f:id:woguna:20211130084605p:image地名国名[015]
4、アキツ・カツマ〈3/4〉

 

◇「淡路島」

 アキツ・カツマ
   →アハヂツ・カツマ →アハヂス・ホツマ
    淡 道之  国   淡 道之 穂 嶋

 淡路島は瀬戸内の島々の中で最大であり、よって、キツの頭にア(大)が乗り、アキツ・カツマと呼ぶ。

アが長音・アハと膨らんだ後、付属音のハ(ha)が独立してファ(pha)になった。さらにフがウに移り、アハ(一音の語)が、アファ→アウァ(アワ:ニ音の語)と移り、この音に淡の字を充てる。キツはヂスと転じて、アキツ→アウァヂスの音転が出来上がる。

▽ちなみに。琵琶湖を淡海と表記する場合の淡も同じです。(※内陸にある大きな水溜まりは、アワ・ミツ ンミという)

アワヂス・カツマ、またアワヂス・ホツマとなった音に、淡道之・国〔カツマ〕、また淡道之・穂嶋〔ホツマ〕の字が充てられました。

《記》では、大八嶋国の中で最初に生まれたのが淡道之穂之狹別嶋としています。ホツマをホノシマ(穂之嶋)と表現したのち、これの間に「狭別」を差し込み「ホノ・狭別・シマ」とします。

太古より、この島は周辺地域に住む人々にとって重要な位置にあった事から、色々な褒称の語が装飾的に付けられたと思われます。

 

 

◇「御饌都国」

淡路島は「御饌都国〔ミケツクニ〕」とも書かれ(読まれ)ますが、これもまた、アキツ・カシマの音に充てられた表記であり、御(ア)饌(クィ)都(ツ)・国(カシマ)です。

今はこれをミケツ・クニと読んでいますが、通常の視点ではアキツ・カシマとは読めないでしょうから、もう…やむを得ない。これからもミケツクニ(またミケのクニ)で有り続ける事でしょう。

 

アキツ・カシマのアキ(秀れた)は、土地を表わす語として使われます。それとは別の意で、アキという語には食糧や食材などの意味があります。アキナイ(商い)のアキです。(狩場をアキヅハラやアキバと言ったりします)

淡路島は古来から農産物や海産物が豊富に収穫出来き、且つ美味しいものが多い土地だったようです。そこから、キ(拗音クィ)の音に食(饌)の文字が充てられた。

 

万葉集に「御食向 淡路乃」〈275〉、「御食国」〈1033〉、などの表記がありますが、万葉の時代にあって「御食」はどう読まれていたのでしょうか。すでにミケになっていたのか、アキの音を保っていたのか。

とにかく、淡路(淡道)も、御食も、どちらもアキ(アクィ)の音を表している、というのが事実です。