「ツツ・ツキ」動のモノ、太陽

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【ツツ考】[017]___
ツツ・ツキ

◇「動くモノ

 太陽は天空を移動する。鳥は空中を移動する。魚は水中を移動する。それにより此れらは、動きを表わすツツやトトの音を持つ名で呼ばれる事がある。

太陽をテント(天道)、沖縄言葉でテダなどというが、ツツ→ツンツ→テント、またツヅ→テダ、と移ったに違いない。サン(英語)や、スーリェ(ヒンドゥ語)などもツツから転化した音と思える。

鳥は、つつ鳥、とと鳥。魚は、そのままトト(今は幼児語扱いですが)と云います。

▽ちなみに、「カマボコって、オトトなの?」などとほざく、いい年をしたお嬢ちゃんをカマトトと呼ぶ。

 

*旅人はツツ・ツキ(移動する・の人)→ツフ・ブト→タビ・ビトと転じる。また、ツツ・ル・キツキが、ツール・イスト(ツーリスト/tourist)になる。これらもまた「移動する・人」の意を持つ語です。

※英語のイスト(ist)は接尾語として扱われるが、音を遡れば「人」を表わすキツキが転じてイストになったと見る事ができます。
ピアノ・キツキがピアノ・イスト(piano ist)→ピアニスト(pianist)になる。

 

 

◇「太陽

 天空と太陽は違う。太陽は天空を移動するモノであって、天空自体ではない。当たり前のことです。よって、太古の人は太陽を表わす言葉として「天空・移動・偉大な神」と表現した。

「天空」はアキツ・カツマ(澄んだ・空間=上空)といい、「偉大な神」はアキツキ・カツキ(全ての主・超越するモノ)といいます。これに「移動」を表わすツツの語が間に入り、太陽の呼称として次の音が使われました。


*「天照大御神」(⒈原音。⒉転化音。⒊表記。)
 〈天〉〈間〉 〈移動〉  〈主〉  〈偉大〉
アキツ・カツマ、ツツ・ ツ、アキツキ ・カツキ
⒉ アマツ     テラ・ツ、オホキツミ・カムヂ
⒊ 天 ツ・ホツマ、 照   ス    大 ツ御・ 神
(※ここでの大の字は、アハキやオホキの音に充てる。また御は身。)

 

 

◇「太陽と大王

 アキツ・カツマという語は、天空の意と同時に優れた国土の意もあり、カツマはしばしばホツマとも表現します。アキツキ・カツキは太陽の意と、立派な王、この二つの意がある。

太陽は天空を移動(ツツル→トール)、また放射(ツツル→テラス)し、王は威光をもって国土を統治(ツツル→ツブラ→スメラ)する。そこから太陽と大王はどちらも、

アキツ・カツマ、ツツ・ツ、アキツキ・カツキ、

という音で呼ばれる事になる。

天皇が太陽神の末裔とされるのは、元の音が同じである所からであり、むしろ当然の成り行きといえます。

ならば、天照大御神は腕力を持つ男神〔ヲトコ・カミ〕であってもいい筈だが、何故か、女神〔ヲンナ・カミ〕として扱われる。

 

*「大日孁貴
 アキツ・カラツマ・ツキ →アハキツ・マ・ブキ
  天  空  ツ間・ヅチ →オホヒル・メ・ムチ
               大  日  孁・貴
(※ここでの大の字は、オホの音に充てる。)

 昼とは、太陽か上方向にある時間帯をいいます。この天空をアキツ・カツマ(また、カラツマ=何も無い広い空間)というが、カツ(またカラツ)が省略されてアキツ・マの音も使う。

さらに転化してアヒル・マ(お昼間)という語になる。よって、天空の“お昼間”を司る神をアハヒルマ・ツキという。

 

*《書紀》では、この神を大日孁貴と表記し、読みを「此云 於保比屢咩能武智」〈此れ云う、オホヒルメノムチ〉としている。原音は勿論「アキツ・マ・ツキ」です。

アがアハやオホなどに膨張し、キツ・マがヒルマに転化するまではいいが、ここで何が有ったのか、ヒルヒルに変わってしまいます。その上、メの音に孁(靈の字の、巫を女にすげ替えた文字)などを作って此れに充て、女神〔オンナ カミ〕とする。

 

*この神は、伊弉諾尊伊弉冉尊の二神によって、大八洲國と山川草木の神を生んだ後に「共生日神、號大日孁貴」〈共に日の神を生む。名付けて、オホヒルメ・ノ・ムチ〉としている。また「一書云、天照大神」「一書云、天照大日孁尊」などと書く。

資料として集められた書物には伝承記事だけではなく、先人の私説なども含まれていたでしょう。その中にあった幾つかの記事を、そのまま載せているだけなのかも知れないが、明らかに大日孁貴(天空)と天照大御神(太陽)との混同が見られる。

此の辺りも天照大御神が女神とされてしまった要因なのかも知れません。卑弥呼の情報も耳にはいっており、これが影響しているのか。

 

竹取物語に見る「かぐや姫」は月の精であり、日(太陽)の配偶者でもあります。妻はツキツミ・ツメと呼ばれ、月弓、月読、月夜見、などと書く。

また、竹から生まれるのは、ツキツミがタケツミとも発音される事に因るものでしょう。

かぐや姫は女性であって、日神もまた女性という事になれば…、ちょっと話がややこしい。