地名国名[025]
8、ツ・アツ・カツマ〈3/3〉
○「佐渡島」
ここをサドガシマと呼んだのは、この島が西方面に位置する地域の人達であり、よって新潟平野辺りから見ての呼称でしょう。
ス・アツ・カツマ
→スアヅ・カツマ→サド・カシマ。
佐渡 島
◇サド・ガシマの音に佐渡・島の字を充てるのだが、当初は島の一字でカシマでした。そのうちカシマからカの音が落ち、島はシマと読むようになります。
佐渡島をそのまま読めばサドシマです。しかし、古くからの呼び名であるサドガシマという音はその後も続く。すると、文字との間でガの音が宙に浮いてしまいます。
いつしかガは助詞としての扱いになり「佐渡ヶ島」といった表記が使われる様になる。さらに、この「ヶ」は「ノ」でも良いだろうと思う人がいて「佐渡ノ島」などの表現もなされる。
そして今、サドガシマの「ガ」は各助詞であると、誰もが信じて疑わない。しかし、元を辿ればカシマのカなのです。
◇畿内や瀬戸内の人達は、永らく佐渡島の存在を知らなかったに違いない。大和から見れば東方面(北東)に存在しており、早い段階で認識していれば、この呼称(サド=西方面を表わす語)にはならなかった筈です。
かなり遅くなってようやく島の存在を知るが、その名はすっかり定着しており、意味を知ってか知らずか、東方面に有るにも関わらずサドガシマの音をそのまま受け入れました。
また《古事記》の中では、那岐・那美二神による国生みで、初めに生まれた大八島の中の一つに入れはしました。淡路島より大きいのだから当然かも知れません。
だが、西日本にある七つの島々は丁寧に説明されていたり、「亦名」が付けられているのに対し、ただ一つこの島だけが「生佐渡島」と、ポツンと書かれているのみで何の補足もない。ここに情報の無さが表れています。
これは、大和の人達にとってこの島が如何に馴染みの無い地であったかを示すものです。