1-3「薄膜」

地名国名[003]

1、カツカ〈3/4〉
◇「薄い面」
*「葉」
 カツカ→ハッパと移る。葉の元の呼び方は、薄く平たい物を表わす音のカツカです。これが転じてハッパ、略してハのみになる。正確にはクァが転じたファでしたが、のちにファ(fa)の発音は消えていき、ハ(ha)に移っていきます。

桑〔クワ〕という語は、カの拗音 *クァ(一音語)がクワ(二音語)となったものです。正確にはクアなのですがクの尾母音ウと、アが拗合してクワの音になる。(※クァについて。日本語の表記としては、後ろの小文字は「ヮ」と書かなくてはいけないのですが、ここでは敢えて「ァ」とします)

 

▽ちなみに。「パスタ」という語。
パスタとは、イタリアの所謂 “ 粉もん ”(スパゲティ、マカロニ、などの総称)をいいますが、元は面を意味するカツカではなかったか。カ→ハ→パ、ツ→ス、カ→タ、という音の転化は通常のことです。

麺〔メン〕も今は紐状に加工された食品をいいますが、元はナンやピザ生地、また餃子の皮の様な、薄くて平たい物が原点なのかも知れませんね。

 

*「幡・布」
 カツカ→ハツタ→ハタ。糸を縦横に詰め込んで作られる織布(平たい物)をカツカといい、音転してハタになる。この音が、幡、旗、服、機、などの字の訓読みになります。

カツカ・ヨリ(糸を編んで面を作る)の音がハツタ・ヲリ→ハタオリ(服織り)になる。この職種に属する者を服織部〔ハタオリベ〕と呼び、後に音はハタオリからハットリに、表記は服織部を略した服部を使うようになる。


◇「表面」
 皮、革。動物の表面。側〔がわ〕と同語である。カツカの第一音のカが一拍音のカハと膨らむが、この時点ではまだ一音の単語です。さらにカハのハが強まりファ(fa)と発音され、カファ(ka・fa)となって二音の単語となる。これは川〔かわ〕も同じ成り立ちであり、ファ→ウァ(ワ)と変わってカワになる。

カツカ(表皮)は、→ハヅカ→ハダ・カ(素肌・面)の語にもなる。衣服を着けない状態をハヅカ・ツキ(裸・の者)という語になるが、「恥かしき」という語は、こちらが出所かも知れない。