1-4「カッパ」

地名国名[004]
1、カツカ〈4/4〉

◇「カッパ」
 アイヌ語で獺〔カワウソ〕をエサマン(esaman)というらしいですが、アイヌ神謡集の中では、蔑みの意を含めてサパ・カッパ(sapa=頭、kappa=平ら)と呼び、編訳者の知里幸恵はこれを扁平頭と和訳しています。

肺呼吸をする水中動物は外敵から身を隠すため、目と鼻だけを水面上に出す生息形態を続けて来た結果、(長い時間をかけてだが)頭部が平らになっていった。その形状から、人々は平面を意味する語であるカツカという言葉で、その動物を呼んでいた。このカッカが転じてカッパとなったのでしょう。

蛙もまたカツカであり、この音がカヅカ→カジカになります。さらに転じて、カハヅカ→カファヅ→カウァヅ(カワズ)→カウェル(カエル)と転じる。

水地を住処〔すみか〕とする頭が平らな動物は総じてカッパであり、それにより地域によって全く違う動物をカッパと呼ぶ。

当然その特徴は異なるのですが、カッパを描こうとする絵師は、それらを全て取り込んだ姿の生き物を創作することになる。ただ、耳にするカッパの姿は色々でも “ 頭に皿を乗せている(扁平頭)” という点で共通項を持っていた。

カッパ(河童)とは、獺、蛙、亀、鵜など、水中や水場に住む魚類以外の、頭が平らでカツカと呼ばれる動物を集めて、これを一個に描いた空想上のキメラと言えます。