神名人名・10-3 「加牟豆美」

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10、カラツキ 〈3/8〉

 

◇「加牟豆美」

 カラツキは武人の意ですが、又一つの意味として「守護のモノ」全般を表わす語としても使われます。

カラツキは武闘派なので剛柔でいえば剛です。柔の場合、カツキのキがミになりカツミの音が使われます。またカが膨張してカンやカムになり、カンツミやカムツミの音となる。これもまた守護の神です。

○この神は、生きてゆく上で降りかかる様々な苦悩や災難からの救済に恃〔たよ〕る護り神です。

伊邪那岐は黄泉国を脱出する際、助けてくれた桃に対して、次のように云いました。

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○其の桃子〔モモツコ〕に告〔ノ〕りつ。
「汝〔ナ〕が吾〔ア〕を助けてくれた如く、この葦原の中ツ国に有りし宇都志伎青人草(人々)が苦しい瀬(世)に落ち、患〔ウレ〕い惚〔ナヤ〕む時、助けたまえ」と告る。
名を賜いて、意富加牟豆美〔オホ・カムヅミ〕ノ命と号〔イ〕う。


伊邪那岐は助けてくれた桃に意富加牟豆美という名を与えるが、カムツミ(守護の神)の呼称自体は元から有り、これに敬意を表わし意富(大)を冠した、という事でしょう。

 

▽ところで。
 神社などで売られている御守札とは、守り札を丁寧に云った「御〔おん〕守り札」の意なのでしょうか。

カムツミの音に神ツ御の字が充てられ「神御・護り札」、更に略して「御・守札」(ミ・マモリフダ)になったのではないか。

御守札とは「神御〔カムツミ〕の霊験によって厄災から常に護って貰う札」というのが、原意だったのかも知れません。

[022]に、つづく。