16-3「キラツノ」「ア・キラツノ」

地名国名[037]
16、キラツノ〈3/5〉

◇「キラツノ」清浄な建造物
 キツノのキがキラと膨張して、キラツノという語になる。キツノ(またアキツノ)が土地空間を表わし、ノの音に野の字を使うのに対して、キラツノは施設をいい、ツノがトノ(殿)の音(表記)になり、清浄な建物を表わす語として使われます。

日本語だけではなく、インドネシア語でもクラトヌ(kuratonu/宮殿)や、プラ(pura/寺院)という言葉が使われています。
或いはパルテノン(Parthenōn)神殿の名もこれと関わるか。

 

◇「アキラツノ」神聖な建物空間
 キラツノにアが乗りア・キラツノとなる。さらに予唸音・イが発声の皮切り音となる事により、アがヤ(ィア)の音になります。

*キラはヒロやシロの音に移り、神聖な建物、またその空間を表わす言葉として位置付けられます。
  ア キラ ツノ
 ィア キラ トノ *アがヤ(ィア)になる。
  ヤ・ヒロ・トノ (八・尋・殿)
  ヤ シロ・トノ (社・殿)

  オホクラ・トノ (大倉・殿)

*キラのキが拗音・キョと発音されて、キラ→キョラの音からキヨラ(清ら)の語になります。
キがキュになればキュラ、これがチュラ(キ→チ)に転じた音は沖縄の言葉で、綺麗な、美しい、といった意味ですね。

つまり、キラツノとは清らかな施設、綺麗な建物、というのが、この言葉を使う人達の、初期の認識だったと思われます。後に清浄や神聖といった意味に移っていきます。