18-2「山崎」

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地名国名[048]___
18、カサキ〈2/7〉

○「山崎」
「崎〔サキ〕は水辺に迫〔セ〕り出した地形をいい、それが山なのだから山崎と呼ぶ。当然である。その意味以外など有り得ない」

この呼称を見て誰もが「山の崎(先)」と解釈をし、その事に何の疑念も抱〔イダ〕かない。仕方のないことです。

 

○「東の崎」
 アヅは東方面を表わす音ですが、これが、アヅ→アブ→アムと転じます。このツの転化(ツ→ヅ→ブ→ム)は人類語に於いて日常的であり、なんら特殊でもなく、捏ね繰り回しでも有りません。

このアムに*予唸音・イが付き、ィアム→ヤマの音になる。これにより、アヅ・*カサキ→ヤマ・カサキと転じ、この音に「山・崎」の字を充てる。
予唸音:基音の前から発声する始発音。カサキ:[047]参照)

 

○「大山崎
 京都と大阪の間にある山崎(「天下分目の天王山」が有る所。大山崎とも言う。)は、太古のころ巨椋池と三島の入江を分ける様に出た岬でした。恐らく当初はアヅ・カサキ(東に迫り出した地形)と呼ばれていたに違い有りません。

よって、山崎の山の字はアヅから転じたヤマ(ィア・マ)であり、山岳を意味する山(イァ・マ)では無い。

耳には音が同じであるということ。この地が山に囲まれた環境にあったこと。更に、下流域にある同名の崎(アマ・カサキ)との呼び分け。これらの事情で山の字が充てられたに過ぎません。

◇山崎と川を挟んだ東向かいには男山が坐まし、この対峙する二つの崎が、巨椋池沿岸にあるクニの雄盾〔ヲダテ〕となります。

袁陀弖…、《仁徳記》の歌に出てきますね。