18-3 「立花崎」と「尼崎」

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地名国名[049]___
18、カサキ〈3/7〉

◇「海崎〔アマ・カサキ〕
 東側(アヅ)に張り出した陸地(カサキ)をアヅ・カサキといいます。ツはツ→ヅ→ブ→ム(→マ)と移る音なので、後にアヅはアム(アマ)に転じます。※ここでのアツ(アヅ)は東方面の意。

 アヅ・カサキ→アブ・カサキ→アマ・カサキ
              海  崎(尼崎)

かつて三島の入江(現・淀川)から摂津にかけての上流地(巨椋池、水の出口)と下流地(猪名川の河口の西)に、それぞれアム・カサキと呼ばれる所がありました。

クニは違えど、人々が行き来する地理的環境にあって、これでは紛らわしい。そこで、アム・カサキの音から山側にあるのを、アマ・カサキ(山崎)、海側のをアマ・カサキ(海崎)と呼び分けた。

ヤマ(山)、アマ(海)、この音(文字)で対比表現した可能性が高い。・・・って云うか、誰が名付け親でも、こうなるだろうと思います。

*山崎・海崎の地と、山サチ・海サチの挿話を結びつけるつもりなど無いが、或いは太古の時代、この二カ所の間で何らかの争いがあったかも、知れません。

 

◇「立花崎タツ・ハナサキ〕
 東方面をアツというのに対して、西方面は頭にツを付け、ツ・アツと表現します。よって、西方面にある出っぱった土地は、ツ・アツ・カサキの音で表します。

 ツ・アツ・カサキ
    →ッアツ・カンサキ→タツ・ハナサキ
              立  花 崎

「ツア」は、いつしか「タ」に成る。カサキのカが撥ねてカンサキ、転じてカナサキになる。さらに、カ(クァ)がハ(ファ)に音転してハナサキになる。

◯ ツアツ→タツ
◯カサキ→カン サキ→カナサキ→ハナサキ、

こうして出来たタツ・ハナサキの音に「立・花崎」の字が充てられます。

これを日常で使う場合「タツ・ハナのサキ」などと「の」を入れる事も起こってくる。その流れはカサキ(崎)の後ろの二音「サキ」を普通名詞の席へと追い遣る。かくして、タツハナ(立・花)の音が自然にこの地の呼び名になってゆく。

 

◇「立花と尼崎
 猪名川武庫川に挟まれた土地(川辺郡)の、大阪湾に面した海岸。その両端にあるカサキのうち、西の角(武庫川の河口付近)をタツ・ハナサキ、東の出っ張り(猪名川の河口付近)をアマ・カサキと呼ぶ。

この呼称は数千年の時を越え、立花・尼崎という地名で、今に残る。

 

◇「ヲダテ
 難波津の入り口には、東に張り出た尼崎と、北に延びた難波崎の先端の石山(尾坂山)があり、これが畿内玄関の門柱(鳥居)となります。