地名国名[047]
18、カサキ〈1/7〉
◇「崎」
水平方向に迫り出した地形などを、太古人はカツキと言ったようだ。その中で、水に面した陸地は、ツがサと転じたカサキという音を使い「崎」の一字で表わす。そして、カサキもまた色々な音に変わってゆく。
○「神崎」
カサキの音は、カがカンと撥ねてカンサキにもなるが、このカンの音を表すため崎の前に神〔カン〕の字が二音仮名字として置かれた。その結果、崎はサキの音となる。
神崎という地名は全国にある。それはこの呼称が水に面した地を表わすものであり、日本はそんな地形だらけだからです。
カンサキから更に転じて、カナサキ、ハナサキ、ハンサキ、カラサキ、などの音にもなります。
*かつて猪名川の河口は今よりずっと北にあり、尼崎に至るまで海岸が広がっていた。時代が下り海はすっかり陸地と化し、かつての海岸線は川のルートになってしまっている。
ここにあった海辺を表わすカンサキという語はそのまま地名となり、さらにここを流れる川の名・神崎川(または三国川)となって今に残る。
《摂津国風土記》に「集諸神祇 於川辺郡内 神前松原」とあり、ここではカンサキの音に神前の字を充てます。川辺郡は武庫川と猪名川との間にある土地をいいます。
《和名抄》郡名に「神崎、加無佐岐」とある。無の字はムとンの音に使いますからカンサキと読んでもよい。むしろカンサキの音に加無佐岐の字を充てたと考えれば、カムサキの方が不自然かも知れない。
通番[048]に、つづく。