17-2「比婆之山」「三輪山」

地名国名[041]
17、カヤマ〈2/7〉

○「比婆之山
 キツ・カヤマ→キツ・カツヤマ
        →ヒツ・ハスヤマ→ヒバスヤマ
               比婆之 山

カヤマにも接頭語のキツが乗り、キツ・カヤマと呼ばれるが、ここではキがヒに、カヤマがカツヤマ→ハスヤマと転じて「比ツ・婆之山」の字が充てられる。ここでの山の字はヤマです。

《神世記》
 伊邪那美神       伊邪那美神
 出雲国 與伯伎国堺   出雲国と伯伎国の堺
 比婆之山也        比婆之山に、葬りき

 

○「三輪山
 キツ・カヤマ→ミツ・ワヤマ
         三ツ  輪 山(美和山)

キツのキが、キ→ヒ→ビ→ミと転じ、カヤマのカが、カ(クァ)→ハ(ファ)→ワ(ウァ)と移り、キツ・カヤマがミツ・ワヤマの音になります。この音に三ツ輪山(美ツ和山)の字を充てた。

崇神記》にある「・・・從糸尋行者、至美和山而留神社」〈糸の従〔マニマ〕に尋ねて(辿って)いけば、美和山に至りて、神社〔カム・ヤシロ〕に留〔トド〕まれり〉

今、此の神社を大神〔オオミワ〕神社といい神の字をミワと読ますが、その経緯〔イキサツ〕は次の様な事ではなかったでしょうか。

  • カヤマのカが膨張してカムとなり、カムヤマとなった音に神山の字を充てる。また、この山の別名がミワヤマ(ミツ・ワヤマ)だったことから、表記は神山、呼称はミワヤマとなる。結果として神の字がミワの音になった。

神の文字自体にミワという読みが有ったのではなく、この地(この山)だけに使われる特殊な読み方だったと思われます。

 

[042]に、つづく。