神名人名・8-3「大臣」

[014]
8、ツキツキ〈3/5〉

③「ツキツキ・ムツキ」
ツキツキの祖・高御産巣日は、一般的にタカ・ミムスヒと読むようですが、これは一旦忘れましょう。

「高御」:天之御中主に仕えるモノの筆頭、後代でいう大臣の立場にあるのモノ。智将。
王に代わって政〔まつりごと〕を行う者を、アツ・ツキツキ・ツキ(大・毘古)というが、これを表わすものと思われる。

アツは大、ツキツキ・ツキは臣(仕えるモノ)。つまり「高ツ御」(アツ・ツキ、またタカツキ)とは「大ツ臣」(オホ・ツオミ)と同じである。

「産巣日」:ムツキ(生むモノ)の意であり、最初のモノ、起源となるモノ、始祖、などを表わす呼称である。ムツキ→ ンムスヒと転じた音に、産巣日の字を充てる。

よって高御産巣日は、高ツ御、産巣日〔アツ・ツキ、ムスヒ〕と切る。

 

○「高」について。高の字は多くの場合敬称として置かれ、「大」と同じ意味で使われる。

高山、高宮、高殿、高橋、高槻 ・・・、これらの高の字は、立派なものを意味する接頭語として置かれているが、読み方をオホ(大)の音に置き換えることが出来る。(必ずしも「高い」を意味するものではない)

古い時代にあって、高の字は部族によって、アツ、オホ、タカ、タケ、などの音に充てていたと思われる。

○「御」について。音はミ(ムィ)、またキ(クィ)です。用途は身の高貴文字として使う。

 

▽ちなみに。
「御」の文字は敬称の接頭語としても使う。その場合の音は、ア、アン、アム、などになるが、これは後の時代の、オ、オンの使い方に繋がる。


◇《書紀》での表記では高皇産霊尊と皇の字を用い、あたかも王や王族であるかの様に扱い、「皇産霊、此云美武須毘」〈皇産霊、此れをミムスビと云う〉などの読みを示し、「皇祖、高皇産霊尊」(神世下、冒頭)と王の祖であるかの如く堂々と書く。

また、天照大御神と併せて書くときは、常に高皇産霊尊天照大御神の順で表記し、大王(男)と斎王(女)の位置付けを匂わす。

これらの充て字選びや設定は、集められた資料の一部にあったものかも知れないが、書紀執筆者は後世にこの形(誤った意味づけ)を定着させてしまった。高皇産霊は筆頭家来の祖であって、王では無い。

 

◇「首相」
 王に仕える参謀で、配下の者を統括する者。古くは、高木神、大伴、大槻、武内宿禰、またアツ・ツキ(大毘古、宇豆比古)などとも呼ばれる。

アツの音に高、大、武、といった文字が充てられ、アツ・ツキツキ(高ツ木)、アツ・トモツキ・ノヲ(大伴・ノ男)、大・ツキ(大槻)、アツ・ウチスキ(武・内宿)、アツ・ツキ(大毘古)、ウヅ・ツキ(宇豆比古)。

時を経て太政大臣、そして現在は総理大臣、また首相という。その太古の呼称は、アツ・ツキツキ・ツキである。

 

▽ちなみに。
羽柴秀吉は摂政関白になったのち、朝廷から豊臣〔トヨトミ〕の名を賜わる。トヨトミとは、ツキツミ→ツユツ オミと転じた音である。

天皇がこの名を与えた意図は『分かってるよね。私が主人、私が!主人で、お前は家来だってことを。』というところか。

 

[014]に、つづく。