[007]
5、キツ・キツキ〈2/2〉
◇キツ・キッツキ
キツキの先のキが膨張してキッになり、キツ・キッツキの音になる。古い時代の形であり、人をいうキツ・キツキをちょっと膨らませただけの音だったが、次第に使われなくなった。
王を表わす新たな呼称が作られ、それが主流になっていった事による衰退であろか。いつの時代にも、流行り廃りがある。木佐貫〔キサヌキ〕という苗字はこの名残りかも知れません。
*「一言主大神」
(雄略天皇一行、葛城山で遭遇する)キツ・キッツキ・ヌカツキ→ヒツ・キツヌキ•ヌカムヂ→ヒト・コトヌシ・のカミ。この音に一言主神の字を充てる。
頭のキツがヒト(人)、キツキがキッツキ→コツヌキ→コトヌシ(言主)、ヌカツキには神を充てるが、後に大の字が加えられて大神になる。一部の部族では王の呼称として、此の音を使っていたのだろう。
*「事代主神」
(国譲りの条。大国主の子)キツ・キラツキ・ヌカツキ→コト・シロヌシ・のカミ。これに事代主神の字が充てられる。八重事代主神、八重言代主神、とも書くが、ここでの八重はアツ(大の意)から移った音(表記)です。
アツ→アフ→アフェ(阿閇)→ィアウェ→ヤヱ(八重)の転化だが、此の音は後から乗せたものと思われ、八重の無い形が基本の姿である。
▽ちなみに。
キツキの先のキがキラと膨らんで、キツ・キラツキ、の音になり次のように移る。
キツ・キラツキ→キェツ・キラツト→イェス・キリスト
キリスト教徒の皆さんにとっては承伏しかねるかも知れないが、元の音はどう見てもキツ・キラツキ(更に元はキツ・キツキ)だと思われます。ジーザス・クライスト(Jesus Christ)などは、かなり音を膨張させていますが、同じ事です。
つまり、キツキの第一音のキが膨張してキッツキやキラツキと表現される音は、洋の東西を問わず、秀でたヒトを表わす人類語という事です。
[ヲグナ]